太りぎみの犬の減量(ゆっくり・先生と一緒に)
まあるい体もかわいいけれど、最近ちょっと重たそう…と気になりますよね。減量は、急がずゆっくりが基本です。避妊・去勢のあとは太りやすくなることも。かかりつけの先生と目標を決めて、家族みんなで進めましょう。
この記事の要点
- 本格的なダイエットは、必ず獣医師の指導のもとで行うようにとされています。
- 避妊・去勢のあとは必要なエネルギーが減るので、ごはんの量の見直しが必要です。手術のあと2年ほどは、とくに太りやすかったという報告もあります。
- 急にたくさん減らすと、リバウンドしやすくなったり、栄養が足りなくなったりするおそれがあります。
- おやつは1日のカロリーの1割まで(環境省は2割以内)が目安。あげた分だけ、主食を減らしましょう。
1避妊・去勢のあとや、中年になると太りやすい
避妊・去勢の手術のあとは、体が必要とするエネルギーが減るとされています。同じ量を食べ続けると少しずつ体重が増えてしまうので、量を見直してあげましょう。
米国の動物病院の記録を調べた研究では、手術を受けた犬は受けていない犬より太りぎみになりやすく、その差が出たのは手術のあと2年ほどの間でした。手術を受けた年齢による違いは見られなかったそうです。
中年にかけて体重が増えやすいこと、ラブラドール・レトリーバーやビーグルなど太りやすい犬種があることも知られています。
手術のあとは、ごはんの量を見直すいいタイミングです。手術のあと数年は、健診のたびに体重と体型を一緒に確かめてもらうと安心です。
2始める前に、先生と目標とペースを決める
ダイエットは、必ず獣医師の指導のもとで行いましょう。体重が増えやすくなる病気(甲状腺の病気など)が隠れていることもあるからです。
ごはんの量は、今の体重ではなく理想の体重をもとに計算します。
目標の体重は、いきなり理想の体重でなくてもかまいません。少しやせるだけでも関節の痛みなどがやわらぐことがあるとされ、手の届く目標から段階的に進める考え方もあります。
おうちの犬では、減るペースは1週間に体重の0.5〜1%ほどと、ゆっくりなことが多いそうです。はじめの1か月は少し早く、その後はだんだんゆっくりになります。
目標に届くのは、減量を始めた犬のおよそ半分とされています。思うように減らなくても、自分を責めないでくださいね。体重の数字だけでなく、元気に動けるようになったか、という変化も大切にしましょう。
3急に減らさないほうがいい理由
早く減らしてあげたくなる気持ち、わかります。でも、急に減らすことにはこんな心配があります。
- リバウンド:食事を大きく減らすと、そのあと体重が戻りやすいとされています。
- 栄養が足りなくなるおそれ:ふつうのフードの量をただ減らすと、カロリーと一緒にビタミンやミネラルなども減ってしまいます。計算では、いくつかの栄養素が推奨量を下回ったそうです。
- 筋肉が落ちる:たくさん減らすほど、脂肪だけでなく筋肉も落ちやすいとされます。
ごはんの量を自己判断で大きく減らさず、どのフードをどれだけあげるかは先生と決めましょう。減量用につくられた食事をすすめられることもあります。
4量を量って、おやつも数に入れる
ごはんは、はかりで重さを量るのが基本です。
1日分は何回かに分けてあげましょう。犬は目の前のごはんをお腹いっぱい食べる習性があり、1日1回だと慌てて飲みこんだり、太る原因になったりするとされています。
おやつ、人の食べ物、サプリメント、お薬を飲ませるための食べ物も、ぜんぶカロリーに入ります。おやつは1日のカロリーの1割までが目安とされ、環境省は2割以内としています。あげた分だけ、主食を減らしましょう。
ほかの子のお皿のごはんを食べてしまうことも、太る理由になります。おやつや人の食べ物を足しても、そのぶん主食を減らしていないことはよくあるそうです。家族みんなで同じルールにしておくと安心です。
減量を始めて最初の数日が、飼い主さんにとっていちばんつらいときと言われます。ごはんの代わりに、散歩や遊び、ブラッシングでのふれあいを増やしてあげましょう。
5散歩と遊び、そして続けること
体を動かすことは、筋肉を保ちながら減量するためにも大切とされています。急に長い散歩を始めず、今の体力に合わせて、先生と相談しながら少しずつ増やしましょう。
転がすと少しずつごはんが出てくるおもちゃや、決まった量を出す給餌器も、続けやすくする工夫として挙げられています。
減量を続けるのは、飼い主さんにとっても大変なことです。体重を定期的に量り、先生とこまめに連絡をとると続けやすくなります。
目標に届いたあとも油断は禁物です。減量できた犬のうち半分ほどは、そのあと体重が戻っていたという報告があります。目標に届いたら、体重を保つための量を先生と決め直しましょう。
上手に減量できた犬は、元気さが増し、痛みや気持ちの不安定さのスコアが下がったという報告もあります。
6今日からできること
- まず体重を量り、体型をチェックする。やり方は「体型の見方と体重の量り方」にあります。
- かかりつけの先生に、理想の体重と、目標・ペースを相談する。
- ごはんをはかりで量り、1日分を何回かに分ける。
- おやつは1日分を朝に取り分けておき、あげた分だけ主食を減らす。
- 家族みんなで、だれがいつ何をあげたかを共有する。
- 散歩や遊びの時間を、少しずつ増やす。
- 避妊・去勢の手術を受けたら、ごはんの量を見直す。
このテーマのフード一覧
このページは、飼い主さん向けの一般的なお話です。気になる様子があるときや、持病のある子のごはんは、かかりつけの先生に相談してくださいね。
参考にした資料(10件)
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(4.体調管理について)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- AAHA(米国動物病院協会)、J Am Anim Hosp Assoc 57(3):153-174「2021 AAHA Nutrition and Weight Management Guidelines for Dogs and Cats」(2021) www.aaha.org/globalassets/02-guidelines/2021-nutrition-and-w
- Lefebvre SL ほか(Banfield 動物病院), J Am Vet Med Assoc 243(2):236-43「Effect of age at gonadectomy on the probability of dogs becoming overweight」(2013) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23822081/
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(5.Q&A)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- German AJ(リバプール大学), Acta Vet Scand 58(Suppl 1):57「Weight management in obese pets: the tailoring concept and how it can improve results」(2016) pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5073926/
- Laflamme DP ほか(ネスレ ピュリナ), J Am Anim Hosp Assoc 33(3):253-9「Evaluation of weight loss protocols for dogs」(1997) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9138236/
- Linder DE ほか(タフツ大学ほか), Vet Q 32(3-4):123-9「Theoretical evaluation of risk for nutritional deficiency with caloric restriction in dogs」(2012) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23066734/
- German AJ ほか(リバプール大学), Vet J 192(1):65-70「Long-term follow-up after weight management in obese dogs: the role of diet in preventing regain」(2012) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21570327/
- German AJ ほか(リバプール大学ほか), Vet J 192(3):428-34「Quality of life is reduced in obese dogs but improves after successful weight loss」(2012) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22075257/
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(1.最初に知っておきたいこと)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
確認日:2026-10-22。獣医師の監修は受けていません。上の資料をもとに、運営者がまとめています。