食物アレルギーと除去食試験(かゆみ・耳・おなか)
足をなめたり、耳をかいたり。うちの子がかゆそうにしていると、「ごはんのせいかな」と気になりますよね。犬の食物アレルギーは、かゆみや耳、おなかの不調で気づかれることが多いもの。確かめるには、先生と一緒に行う「除去食試験」が基本です。
この記事の要点
- いちばんのサインはかゆみです。体じゅう、耳、足先、おなかがかゆくなることが多いとされます。
- くり返す皮膚の感染や外耳炎、下痢や便の回数が増えることで気づかれることもあります。
- 確かめるには、先生と「除去食試験」を。決めた食事と水だけを、少なくとも8週間続けるのが目安です。
- 血液のアレルギー検査だけでは、食物アレルギーは決められないとされています。
1見られると言われる症状(かゆみ・耳・おなか)
食べ物への反応は、おもに皮膚とおなかに出るとされます。皮膚に出る場合は、ほとんどの犬にかゆみがあり、体じゅうがかゆいこともあれば、耳や足先、おなかに出ることも多いと言われます。おしりのまわりだけがかゆい子は少なめだそうです。
かゆみは、かく・こする・かむ・なめる・おしりを床にこする・頭を振る、といったしぐさで現れます。
よく見られるのは、次のような様子です。
- くり返す皮膚の感染(ばい菌による皮膚炎)
- 外耳炎(耳の中の炎症)をくり返す
- アトピー性皮膚炎と同じような皮膚の様子
- 下痢や、便の回数が増える:皮膚以外では、いちばん多いサインとされます。吐くことは、犬では少なめです。
- まれに、結膜炎やくしゃみが出ることもあります。
始まる年齢はさまざまで、1歳までに始まる子も少なくないとされます。何年も同じごはんを食べていて起こることもあると言われています。かゆみが季節に関係なく続くときや、下痢が続くときは、早めに先生に相談しましょう。
2かゆい原因は、食べ物だけではありません
ノミやダニなどの寄生虫、花粉やハウスダストなど環境のアレルギー(アトピー性皮膚炎)でも、同じようなかゆみが出ます。食べ物によるかゆみと環境のアレルギーは、見た目では区別がつかないことが多いと言われます。
食物アレルギーは、かゆみのある犬のうちの一部とされ、その割合は調べた病院や方法で大きく変わります。
食物アレルギーの犬が、アトピーやノミのアレルギーを一緒に持っていることもあります。
まずは、ノミの対策ができているか確かめましょう。ノミが見つからなくても、しっかり対策をしてから様子を見るようすすめられています。「かゆい=ごはん」と決めつけず、先生に順番に調べてもらうのが近道です。
3原因になりやすいと報告された食べもの
皮膚の症状が出た犬で、負荷試験(もとの食べ物を戻して、症状がまた出るかを見る試験)で原因とわかった食べものをまとめた報告があります。多かったのは、次のようなものです。
- 牛肉:いちばん多く報告されています
- 乳製品
- 鶏肉
- 小麦
- ラム(羊肉)
- そのほか、大豆・とうもろこし・卵・豚肉・魚・米なども、少ないながら報告されています。
これは、昔からフードによく使われてきた材料が多く出ているだけかもしれない、とも言われています。原因になる食べものは一頭ずつ違うので、「この材料を外せば大丈夫」とは言えません。
4除去食試験の進め方(期間・食事・注意)
食物アレルギーを確かめるいちばん確かな方法は、「除去食試験」と、そのあとの「負荷試験」とされています。
まず先生と一緒に、これまで食べたことのない材料の食事か、たんぱく質を細かく分解した「加水分解食」を選びます。家で作る食事を使うこともあります。
決めた食事と水だけを、少なくとも8週間続けます。8週間続けると、食物アレルギーの犬のほとんどが落ち着いたとされています。
よくなったら、もとのごはんに戻して、また症状が出るかを見ます(負荷試験)。戻してから2週間ほどのうちに、ほとんどの犬で症状が出たとされます。
症状が戻れば、食べものへの反応と確かめられます。原因とわかった材料は、その後も食事から外していきます。
試験中は、次のようなことでうまくいかなくなりがちです。家族みんなで気をつけましょう。
- おやつ、人の食べ物、かむおやつ(皮のガムなど)
- お薬をごはんに包んで飲ませる、味のついたお薬、かむタイプのノミやフィラリアのお薬。お薬は自分でやめず、先生に相談してくださいね。
- 味のついた歯みがき粉
- 床に落ちた食べかすや、ほかのペットの空のお皿をなめる
- ほかの動物のうんちを食べる
試験は、先生に診てもらうまで続けるのが基本です。よくなったように見えても、一部しかおさまっていないことがあるからです。市販の「材料をしぼった」フードに、表示にない材料がまじっていたという海外の報告もあります。どの食事を使うかは、先生と決めましょう。
5血液検査と、食物不耐症との違い
血液で食べ物のアレルギーを調べる検査は、多くの国で行われています。ただ、犬や猫の食物アレルギーを決めるには信頼できないとされ、同じ血液を分けて調べると結果がそろわなかったこともあるそうです。
皮ふに貼る検査(パッチテスト)は、除去食に使う材料選びの手がかりになるかもしれない、という位置づけです。
食べ物で体調をくずすことには、食物アレルギーのほかに、食物不耐症などもあります。体を守るしくみ(免疫)が関わるのがアレルギー、関わらないのが食物不耐症です。
除去食でよくなっても、アレルギーとは限りません。おなかの調子が長く悪い犬は除去食でよくなることが多いものの、もとのごはんに戻して再発するのは一部とされています。
今のところ、いちばん確かなのは除去食試験と、そのあとの負荷試験とされています。検査の結果だけでごはんを決める前に、先生に相談しましょう。
6今日からできること
このサイトの「合わなかったフードと平気なフードを比べる」道具は、共通する原材料を見つけるためのものです。アレルギーの診断ではありません。
除去食には、それまで食べたことのない材料を選びます。これまでのフードやおやつの原材料の記録は、先生に相談するときの手がかりになりますよ。
- かく・なめる・耳をかく・頭を振るのに気づいたら、いつから・どこを、をメモして動物病院に相談する。
- ノミの対策ができているか確かめる。
- 今のフード・おやつ・お薬の名前と原材料を、写真やメモで残しておく。
- 下痢や便の回数が増えた状態が続くときは、回数と日付をメモして受診する。
- 血液検査の結果だけで、ごはんを決めない。
- 除去食試験を始めたら、家族みんなで「決めた食事と水だけ」を守る。
このテーマのフード一覧
このページは、飼い主さん向けの一般的なお話です。気になる様子があるときや、持病のある子のごはんは、かかりつけの先生に相談してくださいね。
参考にした資料(12件)
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確認日:2026-10-22。獣医師の監修は受けていません。上の資料をもとに、運営者がまとめています。