シニア犬のごはん(量・食べないとき・受診)
口のまわりが白くなって、寝ている時間が長くなってきた子も、いとおしいですよね。シニアになると、食べる量や体重が少しずつ変わります。「年のせいかな」と決めつけず、変化に気づいたら早めにかかりつけの先生に相談しましょう。
この記事の要点
- シニアの入り口は、環境省の目安で8〜10歳ごろ、大型犬では6〜7歳ごろです。
- 元気で体型もよければ、年齢だけでフードを替えなくてもよいとされます。替えるかどうかは先生と相談を。
- においや味を感じる力が落ちると、食欲も落ちがち。人肌に温める、お湯でふやかすなどの工夫があります。
- すすんで食べない日が続く、理由なく体重が減ってきたときは、早めに受診を。
1いつからシニア?
環境省の目安では、中高齢期は8〜10歳ごろから、大型犬では6〜7歳ごろからです。
米国動物病院協会(AAHA)は、その子の寿命の最後の4分の1くらいをシニアとしています。犬種や体の大きさで年のとり方が違うので、決まった年齢では区切らない考え方です。
年をとること自体は病気ではない、とよく言われます。ただ、年とともにかかりやすい病気が増えるのも事実です。
何歳になったら必ずこうする、という決まりはありません。うちの子のシニアの入り口がいつごろか、健診のときに聞いてみるのがおすすめです。
2シニア用に替える? 今のままでいい?
年をとると、必要なエネルギーは減っていくとされます。内臓のはたらきや体を動かす力が、少しずつ落ちてくるためです。
環境省は、エネルギーや脂肪をひかえめにして、良質なたんぱく質を使った高齢期用のフードをすすめています。
いっぽう、米国の基準には、シニア向けの決まった栄養基準がありません。「シニア用」の中身はメーカーによってかなり違うとされます。今の成犬用で元気に過ごせていれば、そのまま続けてかまわない、という考え方です。
- たんぱく質:健康なシニアに、たんぱく質を減らしたフードは必要ないとされます。減らしすぎると、筋肉が落ちやすくなることもあるそうです。
- カロリー:太りやすい子はひかえめに、やせてきた子は高めのものを、と子によって逆になります。
- 持病がある子:腎臓や心臓の病気などがあると、ごはんの調整が必要なことがあります。療法食は、獣医師の管理のもとで使うフードです。
意見が分かれているので、今の体型や体調に合うフードを、かかりつけの先生に聞いてみましょう。替えるときは、1〜2週間かけて少しずつ。
3食べる量が減ってきたら
いつものごはんを残すようになると、心配になりますよね。年をとると、においや味を感じる力が落ちて、食欲が落ちることが多いとされます。
環境省は、次のような工夫をすすめています。
- フードを人肌くらいに温める
- ドライフードをお湯でふやかす。シニア犬では、フードに水分を足すと消化しやすくなったという報告もあります。
- 塩味のついていないチキンスープをかける
- 室内でもいいので歩くことをうながし、筋肉を保つ。どのくらい動くかは先生と相談を。
- すべりやすい床にマットを敷いて、ごはんの場所まで歩きやすくする。器を少し高くするのも一つの方法です。ただ大型犬では、胃のトラブルの心配から高い器をすすめない大学もあるので、器の高さは先生に相談を。
健康な犬でも、1〜2日ごはんを食べないことはあるとされます。でも、すすんで食べない日が続くときは、病気のサインのこともあります。家での工夫は、先生に診てもらってから試しましょう。
4体重と筋肉の変化を見る
シニアの犬は、筋肉が落ちて脂肪がつきやすく、さらに年をとると体重が減ってくることが多いとされます。体重が同じでも、筋肉が減っていることがあります。
理由のわからない体重の変化があったら、くわしく調べてもらうのがよいとされています。
- 体重を週1回くらい量ってメモする
- 体重だけでなく、筋肉のつき方も診てもらう
- 食べた量と、食べ方の変化をメモする。いつもと違う食べ方は動画に撮っておくと、先生に伝えやすくなります
- 水を飲む量、おしっこ、うんちの様子も見ておく
小型犬やシニアの犬は、歯周病(歯ぐきの病気)が多いとされます。口の中は、診察のたびに診てもらいましょう。
5受診したいサイン
シニアになったら、元気に見えても少なくとも半年に1回は健診を受けるのがすすめられています。血液や尿の検査も、年に1〜2回が目安です。
次のような変化は、病気のサインのことがあります。早めに相談しましょう。
- 食欲が落ちた、すすんで食べない
- 時間をかけて少しずつ体重が減っている
- 水を飲む量が変わった
- 元気がない、ぐったりしている
- 散歩に行きたがらない、歩き方が変わった
- 吐くのをくり返す
すぐに動物病院へぐったりしている、何度も吐く、吐こうとしても何も出ずにお腹がふくれてくるときは、すぐに動物病院へ。胃がふくらんでねじれる病気(胃拡張・胃捻転)は、大型で胸の深い犬に多く、年をとるとかかりやすくなるとされ、一刻を争います。夜間や休日でも、まず電話で相談しましょう。
6今日からできること
- ごはんをはかりで量って出し、残した量もメモする。
- 週1回くらい体重を量る。
- 食欲が落ちてきたら、人肌に温める、お湯でふやかすを試してみる。続くときは受診を。
- シニアになったら、半年に1回は健診へ。口の中も毎回診てもらう。
- すべりやすい床にはマットを敷く。
- フードを替えるときは、先生と相談して1〜2週間かけて少しずつ。
このテーマのフード一覧
このページは、飼い主さん向けの一般的なお話です。気になる様子があるときや、持病のある子のごはんは、かかりつけの先生に相談してくださいね。
参考にした資料(9件)
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(2.市販のペットフードについて)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- AAHA(米国動物病院協会)、J Am Anim Hosp Assoc 57(3):153-174「2021 AAHA Nutrition and Weight Management Guidelines for Dogs and Cats」(2021) www.aaha.org/globalassets/02-guidelines/2021-nutrition-and-w
- タフツ大学 獣医学部 臨床栄養チーム(Petfoodology、Cummings School of Veterinary Medicine)「When Should I Switch My Pet To A Senior Diet?」(2016) sites.tufts.edu/petfoodology/2016/03/08/when-should-i-switch
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(5.Q&A)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- AAHA(米国動物病院協会)(Dhaliwal R ほか)、J Am Anim Hosp Assoc 59(1):1-21「2023 AAHA Senior Care Guidelines for Dogs and Cats」(2023) www.aaha.org/globalassets/02-guidelines/2023-aaha-senior-car
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(4.体調管理について)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- AAHA(米国動物病院協会)(Creevy KE ほか)、J Am Anim Hosp Assoc 55(6):267-290「2019 AAHA Canine Life Stage Guidelines」(2019) 24051120.fs1.hubspotusercontent-na1.net/hubfs/24051120/Guide
- ワシントン州立大学 獣医学部 動物病院(WSU Veterinary Teaching Hospital)「Gastric dilation and volvulus (GDV) and bloat in dogs」(2025) hospital.vetmed.wsu.edu/2025/12/17/gastric-dilation-and-volv
- フロリダ大学 獣医学部 小動物病院(UF Small Animal Hospital)「Bloat or Gastric Dilatation-Volvulus (GDV)」 smallanimal.vethospital.ufl.edu/clinical-services/emergency-
確認日:2026-10-22。獣医師の監修は受けていません。上の資料をもとに、運営者がまとめています。